生物進化の歴史を変えた『ウォルコット採石場』

ヨーホー国立公園も世界遺産に登録されていますが、バンフ国立公園やジャスパー国立公園に比べると、日本人観光客は少ないような気がします。日本からのパッケージツアーは欲張り、わずか8〜10日間のツアーで、カナダの東部(ナイアガラやケベック州)と西部(カナディアンロッキー、ビクトリア、バンクーバー)を同じに回ろうとするのですから、、。カナダの西部だけでも軽く一週間以上は必要です。

しかし欧米や中国人観光客は多かったですね。なかにはエメラルドレイク湖畔にあるロッジに泊まる方もいますが、私にはちょっと予算オーバーで泊まることはできませんでした。ヨーホー国立公園の観光地は変わらないけど、その中心となるフィールドのツーリストインフォメーションセンターは、私がいた頃に比べて充実していました。

私がその所在をしったのはBBCのドキュメンタリー番組です。私はBBCのドキュメンタリーが大好きですが、番組の内容が私が知っている場所や行ったことのある場所だと、さらに興味が湧きます。その日は『化石』に関する内容でした。世界的に知られた『化石の宝庫』がヨーホー国立公園内にあるというのです。

カルガリーから2時間ほど東にドライブしたところには『州立恐竜公園(世界遺産登録)』があり、世界的な恐竜の化石の宝庫と言われています。カナディアンロッキーで化石が見つかるというのは、ガイドしていた頃から知っていましたが、まさか生物の進化の歴史を変えるような化石が、このヨーホー国立公園内で発見されていたとは知りませんでした。

その場所は『ウィルコック採石場』と呼ばれています。1909年、アメリカの古生物学者ウォルコットは、ヨーホー国立公園内にある『バージェス頁岩』から、よく保存されたカンブリア紀の化石群を発見しました。

ウォルコットは2人の息子と共に、この地域に何度も来て、化石のあった頁岩のある地点より上の尾根の地層を調べ、化石を含む地層帯を発見しました。1919年から1924年の間、ここから65、000以上の化石を収集しましたが、彼の名にちなんで『ウォルコット採石場』と名付けられたそうです。

発見された当初は、『節足動物』と思われたかなり奇妙な化石小動物が、既存の分類体系に適合しないため、『どのように説明するか』で広汎な議論を呼んだそうです。1989年、古生物学者グールドの『ワンダフルライフ – バージェス頁岩と生物進化の物語』によって広く一般にも知られることになりました。

と聞くと化石が好きな私は行きたくなりますが、現在は立ち入り禁止、もちろん化石の採取も禁止されています。化石の一部をフィールドにあるツーリストインフォーメーションで見ることができます。それだけでもなかなか夢が募ります。

アノマカリスの化石 by wiki

アノマカリスの化石 by wiki

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